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幻想郷も夏となれば暑い。 そして、私の家は涼を得るための道具が風鈴しかない。 だから、私はその日、家の窓を全て全開にしておいた。 少々の虫は寄るだろうが、別に気にする事もない。 どうせ家は古ぼけているし、この辺りには妖怪も猛獣もいないのだ。多少虫に刺された程度ならば何でもない。 全ての窓を開け放った後、一番涼しくなる場所まで移動して、そのまま寝転がった。 こういう時の畳の心地良さは、言葉にできないものがある。 少しだけ休もう。そう考えつつ、そのままうとうととしてしまった。 『ゆっくりしないでね!』 どうやら完全に寝入っていたらしい。 日はかなり傾いており、何やら物寂しい気分にさせる光景が広がっていた。 何となくため息を一つついてから、食事でも摂ろうと台所に向かっている最中、ガシャンガシャンとやかましい音が聞こえてきた。 泥棒でも入り込んだかと寝ぼけ頭で考えつつ台所に入った私は、それを見て呆然と立ち尽くした。 放射状に割れている陶製食器、食い荒らされた食料、土まみれの床板。 「ゆっくりしていってね!」 そして、その真ん中で異様に得意げにしている饅頭。 幻想郷最弱にして一部の人からはウザいと言われて死ぬまでいたぶられ、一部の人は保護し尊重しているという良く分からない生物、ゆっくりだ。 「ゆっくりしてね! おにいさんはゆっぐ!?」 何か言っているのを無視して、捕まえたゆっくりをガラス製の水槽に放り込み、そのままフタを閉める。 その後、何やら騒がしいゆっくりを尻目に、そのまま部屋を片付けた。 片付けが一通り終了した。 陶製の食器は思ったよりも割れておらず、食料も見た目より減ってはいない。というより、食べた量より食べかすの方が多い。 やけに少ない被害に首を傾げるが、考えてみれば幻想郷最弱のゆっくりなのだ。重いものやすぐに食べられないものは狙わなかったのだろう。 子供のいたずら……にしては性質が悪いが、この程度ならば軽くお仕置きをしてから開放してやっても良いかな。 そんな事を考えつつ水槽に近づいてみると、ゆっくりはボロボロと涙をこぼしていた。 何度も出ようと試みたのだろう、顔の至る所が食紅でも使ったかの様に赤くなっている。 これなら飛び出す心配もないだろうと思い、水槽のフタを開けてみた。 「っぐ……いだいよ、いだいよ……ゆっ! おにいさんここからだして! おうちかえる!」 フタを開けた瞬間、ゆっくりは水槽をごとごとと揺らして泣き叫び出した。 家を荒らされた私の方が悪者の様で若干不愉快だが、そこはぐっと堪える。 危険な生物が近くにいないという事で、警戒心がなくなっていたのは私の方なのだ。 むしろこの程度の被害で済んだ私は、運が良いのだろう……と、考えていてゆっくりの事を忘れていた。 うっかりしていたと思いながら見てみると、当のゆっくりは白目をむいてがたがたと震えていた。 「おねがい! あやまるからおうちかえして! へんなことしないでゆっくりさせてよ!」 そのまま、何度もへこへこと奇妙な屈伸運動をしつつ、ごめんなさいごめんなさいと繰り返す。 どうやら、謝っているつもりなのだろうが、何故ここまで怯えているのだろうか。 不思議に思いつつ水槽を覗き込むと、ゆっくりはカッと目を見開いて、凄まじい悲鳴を上げた。 「ゆあああああぁぁぁ! ぞんなにはやぐうごがないでぇぇぇ! ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 早く動かないで? ゆっくりできない? 意味の分からない事を言うゆっくりを落ち着かせるためにも、話しかけてみる。 「何を言っているんだ? ゆっくりも何も、私は動いていないが」 「おててがぁぁぁ!!! ひらひらひらひらおててがゆっぐりじでないよぉぉぉぉぉ!!!」 泣き叫ぶゆっくりだが、その内容はいまいち良く分からない。 『おてて』と呼ぶ物は恐らく手の事だろうが、手がどうしたと言うんだ? 不思議に思いつつも何気なく左手を見ると、そこそこの速度で左右に揺れている。 「はやぐ! はやぐどめでぇぇぇ!!! なんでもずるがらゆるじでぇぇぇぇぇ!!!」 口の端から黒い泡を吹き出して絶叫するゆっくり。 その様子を見て、ようやくこの手の動き(考え事をする時のクセである)が恐怖の対象なのだと分かった私は、すっと動きを止めて後ろ手を組んだ。 「ほら、もうゆっくり出来るだろう?」 「あ……ありがどおおおおぉぉぉ」 心底安堵した声を上げるゆっくりを眺めていると、イタズラ心が湧いてきた。 「ゆっくり出来たんだから、ここから出す必要はないな。じゃあ、しばらくそこでゆっくりしていてね」 「ゆぎゅ!? まっで! おうぢがえりだいよぉぉぉ!!!」 安堵の顔から一転して、また白目をむいて泣き叫ぶゆっくり。正直面白い。 その情けない有様を眺めていると、一つの『お仕置き』を思いついた。 私は、出来るだけ優しそうに見える笑顔を浮かべて、ゆっくりに話しかけた。 「よし、それならおうちに帰してあげよう」 「ゆっ、ほんとう!? おうちかえしてくれるの!?」 泣き顔からまた一転して笑顔へと変わるゆっくり。 「ゆっくりかえれるよ!」「おうちでゆっくりするね!」などと、もう帰った後の事を考えて嬉しそうに飛び跳ねだした。 だが、そう簡単には帰してはやらないぞ。 「まてまて、帰す前にする事があるだろう」 「することってなに? まりさはすごくゆっくりしてるよ!」 不満そうに口を尖らせるゆっくり。こいつはどうやら、まりさと言うらしいな。 ゆっくりのまりさだから、ゆっくりまりさか。今後はゆっくりまりさとでも呼ぼうかな。 「ゆあああぁぁぁ! おででがゆっぐりじでないよぉぉぉ!!!」 おっと、クセが出てしまった様だ。 慌てて後ろ手を組むと、ゆっくりまりさはぷくっと膨らんで「ぷんぷん!」などと言い出した。どうやら怒っているらしい。 「ゆっ! おにいさんはゆっくりできないひとだね! はやくまりさをおうちにかえしてよ!」 いや、だからその前にする事があるんだって。 何秒か前に言われた事すら覚えていない頭の悪さに内心苦笑しながらも、笑顔を崩さずに語りかける。 「ダメだよ、ゆっくりまりさは悪い事をしたんだから、お仕置きをしなきゃいけない」 「ゆぎゅ!? まりさなんにもわるいことしてないよ! おしおきはなしにして、おうちかえして!」 「ダメだ、私の家をメチャクチャにしたじゃないか。それは悪い事だろう?」 「なんでぇぇぇ!? まりざおにいざんのおうぢめぢゃぐぢゃになんがじでないよぉぉぉ!? おじおぎなんでざれだらゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!」 甲高い声で泣き叫ぶゆっくりまりさ。 自分が何をやったのかを理解していないのか、本気で悪い事は何もしていないと思っているのか……恐らく後者だろう。 ※ 一から理解させてやらなければならないのだろうか……ため息をついて、やや怖い顔を作る。 「じゃあ、私がお前のおうちにある食べ物を食べたり、おもちゃを壊しちゃっても良いんだな?」 「だめだよ! そんなことされたらゆっくりできな……」 中途半端な所で言葉を止めたゆっくりまりさは、ハッと驚く様な顔になって、そのままぶるぶると震え始めた。 勝手に家の食べ物を食べられ、おもちゃを壊される……それは、先ほど自分がやった事だとようやく気付いたらしい。 そのまま考え込む様に目を閉じて「ゆぅ~」とうなり声を上げた。覚悟を決めているらしい。 少し経って目を開いたゆっくりまりさは、饅頭だと言うのにやけに凛々しい表情を浮かべていた。 「……わかったよ、まりさがわるいことしたからおしおきされる! でもあんまりいたくしないでね! いたくしたらゆっくりできないよ!」 ゆっくりおねがいね! などと飛び跳ねるゆっくりまりさ。 勝手な事を言っているのにどこか憎めない態度に、思わず苦笑いが浮かんでしまう。 子供がわがままを言っている様に感じてしまうからだろう。 「よし、覚悟が出来ているならお仕置きをするぞ」 「ゆっ! おねがいします!」 屈伸運動をするゆっくりまりさ。お辞儀のつもりだろう。 お仕置きをするだけなのに、稽古中の師匠と弟子の様で面白いが、ゆっくりまりさは真剣な眼差しでこちらを見つめている。 「じゃあ、始めるぞ」 「ゆっくりいつでもどうぞ!」 よほど怖いのだろう、良く見るとふるふると震えている。 すぐに終らせてやるからな。心の中でそう誓いつつ、ゆっくりまりさの目の前に手を持って行く。 「しばらくこの手を見ている事がお仕置きだ、分かったか?」 「……ゆ? ゆっくりおててみているよ!」 不思議そうな顔をした後で、嬉しそうに飛び跳ねるゆっくりまりさ。 お仕置きと言われて緊張していたら、手を見るだけなどという半ば遊んでいる様な程度で済んだのだ。その気持ちも分からなくはない。 だが、そこまで甘くはないぞ。 「これはお仕置きなんだからゆっくりされては困るな。これからが本番だ」 にこにこと笑うゆっくりまりさの目の前で、手をゆらゆらと動かし始める。 ゆっくりまりさは「ゆっ!?」などと驚いた声をあげつつ、先ほどよりずっと遅い速度で揺れ続けるそれを目で追いかけた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な掛け声で噴出しそうになるのを堪えつつ、ゆっくりと手を動かし続ける。 右、左、右、左……ゆらゆらと動く手を追いかけ続けるゆっくりまりさは、べちゃんと転んでしまった。 「ゆぎゅっ……ゆっくりできないよ!」 そのままぷくっと膨らもうとするが、起き上がった時点でまたゆらゆらと動く手を見て、すぐに目で追いかける。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な声を上げつつ、ゆっくりと動く手を眺め続けるゆっくりまりさ。 その極めて難しい事に挑む挑戦者の様な表情を眺めつつ、私はゆらゆらと手を動かし続けた。 「はい、お疲れさん」 「やっどゆっぐりでぎるよー!!!」 私の声を聞いた瞬間、疲れ果てたとばかりにぷにょんと平べったくなるゆっくりまりさ。 「ゆぅぅぅ……おめめがいたいよ!」 数分間ふらふらと手を追っていたのがよほど堪えたのだろう。 ゆっくりはぱちぱちとまばたきを繰り返している。 「ゆっ……おめめがゆっくりできたよ!」 しばらくそうしてから、ゆっくりまりさは嬉しそうに叫んだ。良く見ると、目がつやつやと輝いている。 ゆっくりもドライアイになるんだな……おっと、考えていたらまた手が動いてしまうから考えない様にしなきゃな。 それに、お仕置きは終ったのだから、家に戻してやらなければならない。少し残念に思いながら、水槽から出してやった。 「おにいさんありがとう! それとごめんなさい! おうちでゆっくりはんせいするね!」 水槽の外に出た途端、嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねていくゆっくりまりさに声をかけた。 「ああ、もう家を荒らすんじゃないぞ」 「ゆっくりわかったよ! ばいばいおにいさん、ゆっくりしていってね!」 その場で飛び跳ねてから、かなりのスローペースでどこかへと去っていくゆっくりまりさを、微笑ましく眺める。 あのゆっくりまりさは、二度と同じ事を繰り返しはしないだろう。 そう考えると、心を鬼にしてやった甲斐があったというものだ。 穏やかな気分になりながらも、足りなくなった食器や食材を買いに行く事にした。無論、戸締りはしっかりとしてからだ。 お仕置きしている最中に降り出した雨の中、急ぎ足で買い物へと出かけた。 近頃流行りのぬるいぢめと32スレ 811の言った○○すれば~~してやる系統の話でふと思い立ったものを一つ即興で上げようとしたけど長くなりました。 ちょっとぬるすぎると思った方のために、先に思いついたドギツイ虐待も置いておきます。 ※から下がそれなので、良かったら見て下さい。 by319 ※ それにしても、うるさい事この上ないな。ゆっくりがウザいと言う人の事が少し理解できた気がする。 「分かった、まりさは悪い事はしていないと言うんだな。なら、家には帰せない。そこでしばらく反省しなさい」 「わるいごどじでないのにぃぃぃ! おうぢがえじでよぉぉぉ!!!」 いかにも自分は被害者だという叫びを上げるゆっくりを無視して、フタを閉める。 水槽を覗き込むと、ゆっくりの方も気付いたのか、激しく跳ね回りながら泣き出した。 音が聞こえないために何を言っているかは分からないが、何と言いたいかは分かる。 家に帰りたい、助けて、ごめんなさい。まりさは何もしてないよ、許して。 最初は、子供のいたずらに近いものがあるし入ったのがゆっくり程度で良かったと思っていた。 だからこそ、先ほど考えていたお仕置きも簡単なもので済ますつもりだった。 だが、こいつは全く反省していないどころか、自分は被害者で、冤罪だとほざいている。 これまで優しく接していた自分が愚か者だと突きつけられた様な錯覚に陥る。 苛立ちをそのまま饅頭に叩きつけたくなるが、そんな事をしたら今度こそ自身の間違いを肯定する様なものだ。それは気に入らない。 では、どうするか……決めた。 さっき思いついた『お仕置き』を少々キツめにやってやろう。 これなら暴力は振るわないで心の底からの反省を促す事が出来る。 「おうぢがえじでぇぇぇ……ゆっ? おにいざん、なにじでるの!?」 まず、ゆっくりの目の前に手を持ってくる。 「おはなじぎいでよ! ゆっぐりでぎないよ!」 そのまま、ひらひらと左右に手を振る。 「ゆっ!? ゆ、ゆ、ゆ……」 何かと思って追いかけるゆっくりの前で、どんどん手を早く振っていく。 「ゆっ、ゆっ……ゆゆゆ、ゆっぐりでぎないよ! もっどゆっぐりじでよ!」 だが断る。更に手を早く振り、ゆっくりできなくしてやる。 「ゆぎゅあぁぁぁぁあぁあぁぁぁあ!!! ゆっぐりじでよ! ゆっぐりじでよ!」 泣きじゃくるゆっくり。 この期に及んでまだ被害者ぶるその態度が勘に触った私は、風を切る音が聞こえるほどに素早く手を振り続けた。 「やべでぇぇぇぇぇゆっぐりざぜでぇぇぇぇぇ!!!」 皮がふやけるほどの勢いで涙を流すゆっくり。 小賢しい。腹の底から怒りが沸き上がってくる。 泣きじゃくるゆっくりの前で、私は手を小刻みに振り続けた。 「ゆるじでぐだざいぃぃぃぃ;あkhy:@ばdgは:!!!」 ゆっくりは、あまりにゆっくりできない現状に絶望したのか、意味不明な叫びと共に黒い何かを吐き出し始めた。 だが、私は怒りのために疲れは全く感じない。 こうなれば、持久戦だ。 私が疲れて手を振る事をやめるか、ゆっくりが被害者ぶるのをやめて、自分が悪かったと反省するか。 そんな事を考えながら延々と手を振ってゆっくりさせない事に専念していたせいで、ゆっくりが段々と目の輝きを失っていった事には気が付けなかった。 どれだけの時間手を振り続けていただろうか。 流石に疲れた私は、手を振る事をやめた。 「……どうだ、これだけやったら反省しただろう」 「………………」 ゆっくりは無言でうつむいている。 流石に反省したと思うのだが、こちらの被害も甚大だ。手がぶるぶると震えている。 こんな事で腱鞘炎にでもなったらバカらしいが、それもこれも、ゆっくりに反省してもらうためにやった事だ。 「分かったか? 自分がやった事を棚に上げて、被害者ぶるなんて許されない事なんだぞ」 「………………」 うつむいたまま動かないゆっくり。 ひょっとしたら、叫び疲れて寝ているのかもしれない。 だとしたら、途中からは何のためにやっていたのか分からないが……若干の冷や汗を背中に流しつつ、ゆっくりが寝ていないかどうか確認してみる事にした。 「おい、聞いているのか? お前は……」 ぱさりと帽子が落ちたその中の饅頭を見て、私は絶句した。 私の家は、勝手に誰かが入り込んでくる様な立派な家でもないし、妖怪もこの辺りにはいない。 だから、私が油断していたと言わざるを得ない。 理性では分かっている。だが、感情では分からない。 だから、私はこんな事をしたのだろう。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 目の前には、白目をむいて震えているゆっくりが一匹。 外傷はないが、精神に負った傷はもう二度と治る事はないだろう。 哀れな饅頭の前で、詫びる様にゆっくりと手を振った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3008.html
幻想郷も夏となれば暑い。 そして、私の家は涼を得るための道具が風鈴しかない。 だから、私はその日、家の窓を全て全開にしておいた。 少々の虫は寄るだろうが、別に気にする事もない。 どうせ家は古ぼけているし、この辺りには妖怪も猛獣もいないのだ。多少虫に刺された程度ならば何でもない。 全ての窓を開け放った後、一番涼しくなる場所まで移動して、そのまま寝転がった。 こういう時の畳の心地良さは、言葉にできないものがある。 少しだけ休もう。そう考えつつ、そのままうとうととしてしまった。 『ゆっくりしないでね!』 どうやら完全に寝入っていたらしい。 日はかなり傾いており、何やら物寂しい気分にさせる光景が広がっていた。 何となくため息を一つついてから、食事でも摂ろうと台所に向かっている最中、ガシャンガシャンとやかましい音が聞こえてきた。 泥棒でも入り込んだかと寝ぼけ頭で考えつつ台所に入った私は、それを見て呆然と立ち尽くした。 放射状に割れている陶製食器、食い荒らされた食料、土まみれの床板。 「ゆっくりしていってね!」 そして、その真ん中で異様に得意げにしている饅頭。 幻想郷最弱にして一部の人からはウザいと言われて死ぬまでいたぶられ、一部の人は保護し尊重しているという良く分からない生物、ゆっくりだ。 「ゆっくりしてね! おにいさんはゆっぐ!?」 何か言っているのを無視して、捕まえたゆっくりをガラス製の水槽に放り込み、そのままフタを閉める。 その後、何やら騒がしいゆっくりを尻目に、そのまま部屋を片付けた。 片付けが一通り終了した。 陶製の食器は思ったよりも割れておらず、食料も見た目より減ってはいない。というより、食べた量より食べかすの方が多い。 やけに少ない被害に首を傾げるが、考えてみれば幻想郷最弱のゆっくりなのだ。重いものやすぐに食べられないものは狙わなかったのだろう。 子供のいたずら……にしては性質が悪いが、この程度ならば軽くお仕置きをしてから開放してやっても良いかな。 そんな事を考えつつ水槽に近づいてみると、ゆっくりはボロボロと涙をこぼしていた。 何度も出ようと試みたのだろう、顔の至る所が食紅でも使ったかの様に赤くなっている。 これなら飛び出す心配もないだろうと思い、水槽のフタを開けてみた。 「っぐ……いだいよ、いだいよ……ゆっ! おにいさんここからだして! おうちかえる!」 フタを開けた瞬間、ゆっくりは水槽をごとごとと揺らして泣き叫び出した。 家を荒らされた私の方が悪者の様で若干不愉快だが、そこはぐっと堪える。 危険な生物が近くにいないという事で、警戒心がなくなっていたのは私の方なのだ。 むしろこの程度の被害で済んだ私は、運が良いのだろう……と、考えていてゆっくりの事を忘れていた。 うっかりしていたと思いながら見てみると、当のゆっくりは白目をむいてがたがたと震えていた。 「おねがい! あやまるからおうちかえして! へんなことしないでゆっくりさせてよ!」 そのまま、何度もへこへこと奇妙な屈伸運動をしつつ、ごめんなさいごめんなさいと繰り返す。 どうやら、謝っているつもりなのだろうが、何故ここまで怯えているのだろうか。 不思議に思いつつ水槽を覗き込むと、ゆっくりはカッと目を見開いて、凄まじい悲鳴を上げた。 「ゆあああああぁぁぁ! ぞんなにはやぐうごがないでぇぇぇ! ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 早く動かないで? ゆっくりできない? 意味の分からない事を言うゆっくりを落ち着かせるためにも、話しかけてみる。 「何を言っているんだ? ゆっくりも何も、私は動いていないが」 「おててがぁぁぁ!!! ひらひらひらひらおててがゆっぐりじでないよぉぉぉぉぉ!!!」 泣き叫ぶゆっくりだが、その内容はいまいち良く分からない。 『おてて』と呼ぶ物は恐らく手の事だろうが、手がどうしたと言うんだ? 不思議に思いつつも何気なく左手を見ると、そこそこの速度で左右に揺れている。 「はやぐ! はやぐどめでぇぇぇ!!! なんでもずるがらゆるじでぇぇぇぇぇ!!!」 口の端から黒い泡を吹き出して絶叫するゆっくり。 その様子を見て、ようやくこの手の動き(考え事をする時のクセである)が恐怖の対象なのだと分かった私は、すっと動きを止めて後ろ手を組んだ。 「ほら、もうゆっくり出来るだろう?」 「あ……ありがどおおおおぉぉぉ」 心底安堵した声を上げるゆっくりを眺めていると、イタズラ心が湧いてきた。 「ゆっくり出来たんだから、ここから出す必要はないな。じゃあ、しばらくそこでゆっくりしていてね」 「ゆぎゅ!? まっで! おうぢがえりだいよぉぉぉ!!!」 安堵の顔から一転して、また白目をむいて泣き叫ぶゆっくり。正直面白い。 その情けない有様を眺めていると、一つの『お仕置き』を思いついた。 私は、出来るだけ優しそうに見える笑顔を浮かべて、ゆっくりに話しかけた。 「よし、それならおうちに帰してあげよう」 「ゆっ、ほんとう!? おうちかえしてくれるの!?」 泣き顔からまた一転して笑顔へと変わるゆっくり。 「ゆっくりかえれるよ!」「おうちでゆっくりするね!」などと、もう帰った後の事を考えて嬉しそうに飛び跳ねだした。 だが、そう簡単には帰してはやらないぞ。 「まてまて、帰す前にする事があるだろう」 「することってなに? まりさはすごくゆっくりしてるよ!」 不満そうに口を尖らせるゆっくり。こいつはどうやら、まりさと言うらしいな。 ゆっくりのまりさだから、ゆっくりまりさか。今後はゆっくりまりさとでも呼ぼうかな。 「ゆあああぁぁぁ! おででがゆっぐりじでないよぉぉぉ!!!」 おっと、クセが出てしまった様だ。 慌てて後ろ手を組むと、ゆっくりまりさはぷくっと膨らんで「ぷんぷん!」などと言い出した。どうやら怒っているらしい。 「ゆっ! おにいさんはゆっくりできないひとだね! はやくまりさをおうちにかえしてよ!」 いや、だからその前にする事があるんだって。 何秒か前に言われた事すら覚えていない頭の悪さに内心苦笑しながらも、笑顔を崩さずに語りかける。 「ダメだよ、ゆっくりまりさは悪い事をしたんだから、お仕置きをしなきゃいけない」 「ゆぎゅ!? まりさなんにもわるいことしてないよ! おしおきはなしにして、おうちかえして!」 「ダメだ、私の家をメチャクチャにしたじゃないか。それは悪い事だろう?」 「なんでぇぇぇ!? まりざおにいざんのおうぢめぢゃぐぢゃになんがじでないよぉぉぉ!? おじおぎなんでざれだらゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!」 甲高い声で泣き叫ぶゆっくりまりさ。 自分が何をやったのかを理解していないのか、本気で悪い事は何もしていないと思っているのか……恐らく後者だろう。 ※ 一から理解させてやらなければならないのだろうか……ため息をついて、やや怖い顔を作る。 「じゃあ、私がお前のおうちにある食べ物を食べたり、おもちゃを壊しちゃっても良いんだな?」 「だめだよ! そんなことされたらゆっくりできな……」 中途半端な所で言葉を止めたゆっくりまりさは、ハッと驚く様な顔になって、そのままぶるぶると震え始めた。 勝手に家の食べ物を食べられ、おもちゃを壊される……それは、先ほど自分がやった事だとようやく気付いたらしい。 そのまま考え込む様に目を閉じて「ゆぅ~」とうなり声を上げた。覚悟を決めているらしい。 少し経って目を開いたゆっくりまりさは、饅頭だと言うのにやけに凛々しい表情を浮かべていた。 「……わかったよ、まりさがわるいことしたからおしおきされる! でもあんまりいたくしないでね! いたくしたらゆっくりできないよ!」 ゆっくりおねがいね! などと飛び跳ねるゆっくりまりさ。 勝手な事を言っているのにどこか憎めない態度に、思わず苦笑いが浮かんでしまう。 子供がわがままを言っている様に感じてしまうからだろう。 「よし、覚悟が出来ているならお仕置きをするぞ」 「ゆっ! おねがいします!」 屈伸運動をするゆっくりまりさ。お辞儀のつもりだろう。 お仕置きをするだけなのに、稽古中の師匠と弟子の様で面白いが、ゆっくりまりさは真剣な眼差しでこちらを見つめている。 「じゃあ、始めるぞ」 「ゆっくりいつでもどうぞ!」 よほど怖いのだろう、良く見るとふるふると震えている。 すぐに終らせてやるからな。心の中でそう誓いつつ、ゆっくりまりさの目の前に手を持って行く。 「しばらくこの手を見ている事がお仕置きだ、分かったか?」 「……ゆ? ゆっくりおててみているよ!」 不思議そうな顔をした後で、嬉しそうに飛び跳ねるゆっくりまりさ。 お仕置きと言われて緊張していたら、手を見るだけなどという半ば遊んでいる様な程度で済んだのだ。その気持ちも分からなくはない。 だが、そこまで甘くはないぞ。 「これはお仕置きなんだからゆっくりされては困るな。これからが本番だ」 にこにこと笑うゆっくりまりさの目の前で、手をゆらゆらと動かし始める。 ゆっくりまりさは「ゆっ!?」などと驚いた声をあげつつ、先ほどよりずっと遅い速度で揺れ続けるそれを目で追いかけた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な掛け声で噴出しそうになるのを堪えつつ、ゆっくりと手を動かし続ける。 右、左、右、左……ゆらゆらと動く手を追いかけ続けるゆっくりまりさは、べちゃんと転んでしまった。 「ゆぎゅっ……ゆっくりできないよ!」 そのままぷくっと膨らもうとするが、起き上がった時点でまたゆらゆらと動く手を見て、すぐに目で追いかける。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な声を上げつつ、ゆっくりと動く手を眺め続けるゆっくりまりさ。 その極めて難しい事に挑む挑戦者の様な表情を眺めつつ、私はゆらゆらと手を動かし続けた。 「はい、お疲れさん」 「やっどゆっぐりでぎるよー!!!」 私の声を聞いた瞬間、疲れ果てたとばかりにぷにょんと平べったくなるゆっくりまりさ。 「ゆぅぅぅ……おめめがいたいよ!」 数分間ふらふらと手を追っていたのがよほど堪えたのだろう。 ゆっくりはぱちぱちとまばたきを繰り返している。 「ゆっ……おめめがゆっくりできたよ!」 しばらくそうしてから、ゆっくりまりさは嬉しそうに叫んだ。良く見ると、目がつやつやと輝いている。 ゆっくりもドライアイになるんだな……おっと、考えていたらまた手が動いてしまうから考えない様にしなきゃな。 それに、お仕置きは終ったのだから、家に戻してやらなければならない。少し残念に思いながら、水槽から出してやった。 「おにいさんありがとう! それとごめんなさい! おうちでゆっくりはんせいするね!」 水槽の外に出た途端、嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねていくゆっくりまりさに声をかけた。 「ああ、もう家を荒らすんじゃないぞ」 「ゆっくりわかったよ! ばいばいおにいさん、ゆっくりしていってね!」 その場で飛び跳ねてから、かなりのスローペースでどこかへと去っていくゆっくりまりさを、微笑ましく眺める。 あのゆっくりまりさは、二度と同じ事を繰り返しはしないだろう。 そう考えると、心を鬼にしてやった甲斐があったというものだ。 穏やかな気分になりながらも、足りなくなった食器や食材を買いに行く事にした。無論、戸締りはしっかりとしてからだ。 お仕置きしている最中に降り出した雨の中、急ぎ足で買い物へと出かけた。 近頃流行りのぬるいぢめと32スレ 811の言った○○すれば~~してやる系統の話でふと思い立ったものを一つ即興で上げようとしたけど長くなりました。 ちょっとぬるすぎると思った方のために、先に思いついたドギツイ虐待も置いておきます。 ※から下がそれなので、良かったら見て下さい。 by319 ※ それにしても、うるさい事この上ないな。ゆっくりがウザいと言う人の事が少し理解できた気がする。 「分かった、まりさは悪い事はしていないと言うんだな。なら、家には帰せない。そこでしばらく反省しなさい」 「わるいごどじでないのにぃぃぃ! おうぢがえじでよぉぉぉ!!!」 いかにも自分は被害者だという叫びを上げるゆっくりを無視して、フタを閉める。 水槽を覗き込むと、ゆっくりの方も気付いたのか、激しく跳ね回りながら泣き出した。 音が聞こえないために何を言っているかは分からないが、何と言いたいかは分かる。 家に帰りたい、助けて、ごめんなさい。まりさは何もしてないよ、許して。 最初は、子供のいたずらに近いものがあるし入ったのがゆっくり程度で良かったと思っていた。 だからこそ、先ほど考えていたお仕置きも簡単なもので済ますつもりだった。 だが、こいつは全く反省していないどころか、自分は被害者で、冤罪だとほざいている。 これまで優しく接していた自分が愚か者だと突きつけられた様な錯覚に陥る。 苛立ちをそのまま饅頭に叩きつけたくなるが、そんな事をしたら今度こそ自身の間違いを肯定する様なものだ。それは気に入らない。 では、どうするか……決めた。 さっき思いついた『お仕置き』を少々キツめにやってやろう。 これなら暴力は振るわないで心の底からの反省を促す事が出来る。 「おうぢがえじでぇぇぇ……ゆっ? おにいざん、なにじでるの!?」 まず、ゆっくりの目の前に手を持ってくる。 「おはなじぎいでよ! ゆっぐりでぎないよ!」 そのまま、ひらひらと左右に手を振る。 「ゆっ!? ゆ、ゆ、ゆ……」 何かと思って追いかけるゆっくりの前で、どんどん手を早く振っていく。 「ゆっ、ゆっ……ゆゆゆ、ゆっぐりでぎないよ! もっどゆっぐりじでよ!」 だが断る。更に手を早く振り、ゆっくりできなくしてやる。 「ゆぎゅあぁぁぁぁあぁあぁぁぁあ!!! ゆっぐりじでよ! ゆっぐりじでよ!」 泣きじゃくるゆっくり。 この期に及んでまだ被害者ぶるその態度が勘に触った私は、風を切る音が聞こえるほどに素早く手を振り続けた。 「やべでぇぇぇぇぇゆっぐりざぜでぇぇぇぇぇ!!!」 皮がふやけるほどの勢いで涙を流すゆっくり。 小賢しい。腹の底から怒りが沸き上がってくる。 泣きじゃくるゆっくりの前で、私は手を小刻みに振り続けた。 「ゆるじでぐだざいぃぃぃぃ;あkhy:@ばdgは:!!!」 ゆっくりは、あまりにゆっくりできない現状に絶望したのか、意味不明な叫びと共に黒い何かを吐き出し始めた。 だが、私は怒りのために疲れは全く感じない。 こうなれば、持久戦だ。 私が疲れて手を振る事をやめるか、ゆっくりが被害者ぶるのをやめて、自分が悪かったと反省するか。 そんな事を考えながら延々と手を振ってゆっくりさせない事に専念していたせいで、ゆっくりが段々と目の輝きを失っていった事には気が付けなかった。 どれだけの時間手を振り続けていただろうか。 流石に疲れた私は、手を振る事をやめた。 「……どうだ、これだけやったら反省しただろう」 「………………」 ゆっくりは無言でうつむいている。 流石に反省したと思うのだが、こちらの被害も甚大だ。手がぶるぶると震えている。 こんな事で腱鞘炎にでもなったらバカらしいが、それもこれも、ゆっくりに反省してもらうためにやった事だ。 「分かったか? 自分がやった事を棚に上げて、被害者ぶるなんて許されない事なんだぞ」 「………………」 うつむいたまま動かないゆっくり。 ひょっとしたら、叫び疲れて寝ているのかもしれない。 だとしたら、途中からは何のためにやっていたのか分からないが……若干の冷や汗を背中に流しつつ、ゆっくりが寝ていないかどうか確認してみる事にした。 「おい、聞いているのか? お前は……」 ぱさりと帽子が落ちたその中の饅頭を見て、私は絶句した。 私の家は、勝手に誰かが入り込んでくる様な立派な家でもないし、妖怪もこの辺りにはいない。 だから、私が油断していたと言わざるを得ない。 理性では分かっている。だが、感情では分からない。 だから、私はこんな事をしたのだろう。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 目の前には、白目をむいて震えているゆっくりが一匹。 外傷はないが、精神に負った傷はもう二度と治る事はないだろう。 哀れな饅頭の前で、詫びる様にゆっくりと手を振った。 このSSに感想を付ける
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幻想郷も夏となれば暑い。 そして、私の家は涼を得るための道具が風鈴しかない。 だから、私はその日、家の窓を全て全開にしておいた。 少々の虫は寄るだろうが、別に気にする事もない。 どうせ家は古ぼけているし、この辺りには妖怪も猛獣もいないのだ。多少虫に刺された程度ならば何でもない。 全ての窓を開け放った後、一番涼しくなる場所まで移動して、そのまま寝転がった。 こういう時の畳の心地良さは、言葉にできないものがある。 少しだけ休もう。そう考えつつ、そのままうとうととしてしまった。 『ゆっくりしないでね!』 どうやら完全に寝入っていたらしい。 日はかなり傾いており、何やら物寂しい気分にさせる光景が広がっていた。 何となくため息を一つついてから、食事でも摂ろうと台所に向かっている最中、ガシャンガシャンとやかましい音が聞こえてきた。 泥棒でも入り込んだかと寝ぼけ頭で考えつつ台所に入った私は、それを見て呆然と立ち尽くした。 放射状に割れている陶製食器、食い荒らされた食料、土まみれの床板。 「ゆっくりしていってね!」 そして、その真ん中で異様に得意げにしている饅頭。 幻想郷最弱にして一部の人からはウザいと言われて死ぬまでいたぶられ、一部の人は保護し尊重しているという良く分からない生物、ゆっくりだ。 「ゆっくりしてね! おにいさんはゆっぐ!?」 何か言っているのを無視して、捕まえたゆっくりをガラス製の水槽に放り込み、そのままフタを閉める。 その後、何やら騒がしいゆっくりを尻目に、そのまま部屋を片付けた。 片付けが一通り終了した。 陶製の食器は思ったよりも割れておらず、食料も見た目より減ってはいない。というより、食べた量より食べかすの方が多い。 やけに少ない被害に首を傾げるが、考えてみれば幻想郷最弱のゆっくりなのだ。重いものやすぐに食べられないものは狙わなかったのだろう。 子供のいたずら……にしては性質が悪いが、この程度ならば軽くお仕置きをしてから開放してやっても良いかな。 そんな事を考えつつ水槽に近づいてみると、ゆっくりはボロボロと涙をこぼしていた。 何度も出ようと試みたのだろう、顔の至る所が食紅でも使ったかの様に赤くなっている。 これなら飛び出す心配もないだろうと思い、水槽のフタを開けてみた。 「っぐ……いだいよ、いだいよ……ゆっ! おにいさんここからだして! おうちかえる!」 フタを開けた瞬間、ゆっくりは水槽をごとごとと揺らして泣き叫び出した。 家を荒らされた私の方が悪者の様で若干不愉快だが、そこはぐっと堪える。 危険な生物が近くにいないという事で、警戒心がなくなっていたのは私の方なのだ。 むしろこの程度の被害で済んだ私は、運が良いのだろう……と、考えていてゆっくりの事を忘れていた。 うっかりしていたと思いながら見てみると、当のゆっくりは白目をむいてがたがたと震えていた。 「おねがい! あやまるからおうちかえして! へんなことしないでゆっくりさせてよ!」 そのまま、何度もへこへこと奇妙な屈伸運動をしつつ、ごめんなさいごめんなさいと繰り返す。 どうやら、謝っているつもりなのだろうが、何故ここまで怯えているのだろうか。 不思議に思いつつ水槽を覗き込むと、ゆっくりはカッと目を見開いて、凄まじい悲鳴を上げた。 「ゆあああああぁぁぁ! ぞんなにはやぐうごがないでぇぇぇ! ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!」 早く動かないで? ゆっくりできない? 意味の分からない事を言うゆっくりを落ち着かせるためにも、話しかけてみる。 「何を言っているんだ? ゆっくりも何も、私は動いていないが」 「おててがぁぁぁ!!! ひらひらひらひらおててがゆっぐりじでないよぉぉぉぉぉ!!!」 泣き叫ぶゆっくりだが、その内容はいまいち良く分からない。 『おてて』と呼ぶ物は恐らく手の事だろうが、手がどうしたと言うんだ? 不思議に思いつつも何気なく左手を見ると、そこそこの速度で左右に揺れている。 「はやぐ! はやぐどめでぇぇぇ!!! なんでもずるがらゆるじでぇぇぇぇぇ!!!」 口の端から黒い泡を吹き出して絶叫するゆっくり。 その様子を見て、ようやくこの手の動き(考え事をする時のクセである)が恐怖の対象なのだと分かった私は、すっと動きを止めて後ろ手を組んだ。 「ほら、もうゆっくり出来るだろう?」 「あ……ありがどおおおおぉぉぉ」 心底安堵した声を上げるゆっくりを眺めていると、イタズラ心が湧いてきた。 「ゆっくり出来たんだから、ここから出す必要はないな。じゃあ、しばらくそこでゆっくりしていてね」 「ゆぎゅ!? まっで! おうぢがえりだいよぉぉぉ!!!」 安堵の顔から一転して、また白目をむいて泣き叫ぶゆっくり。正直面白い。 その情けない有様を眺めていると、一つの『お仕置き』を思いついた。 私は、出来るだけ優しそうに見える笑顔を浮かべて、ゆっくりに話しかけた。 「よし、それならおうちに帰してあげよう」 「ゆっ、ほんとう!? おうちかえしてくれるの!?」 泣き顔からまた一転して笑顔へと変わるゆっくり。 「ゆっくりかえれるよ!」「おうちでゆっくりするね!」などと、もう帰った後の事を考えて嬉しそうに飛び跳ねだした。 だが、そう簡単には帰してはやらないぞ。 「まてまて、帰す前にする事があるだろう」 「することってなに? まりさはすごくゆっくりしてるよ!」 不満そうに口を尖らせるゆっくり。こいつはどうやら、まりさと言うらしいな。 ゆっくりのまりさだから、ゆっくりまりさか。今後はゆっくりまりさとでも呼ぼうかな。 「ゆあああぁぁぁ! おででがゆっぐりじでないよぉぉぉ!!!」 おっと、クセが出てしまった様だ。 慌てて後ろ手を組むと、ゆっくりまりさはぷくっと膨らんで「ぷんぷん!」などと言い出した。どうやら怒っているらしい。 「ゆっ! おにいさんはゆっくりできないひとだね! はやくまりさをおうちにかえしてよ!」 いや、だからその前にする事があるんだって。 何秒か前に言われた事すら覚えていない頭の悪さに内心苦笑しながらも、笑顔を崩さずに語りかける。 「ダメだよ、ゆっくりまりさは悪い事をしたんだから、お仕置きをしなきゃいけない」 「ゆぎゅ!? まりさなんにもわるいことしてないよ! おしおきはなしにして、おうちかえして!」 「ダメだ、私の家をメチャクチャにしたじゃないか。それは悪い事だろう?」 「なんでぇぇぇ!? まりざおにいざんのおうぢめぢゃぐぢゃになんがじでないよぉぉぉ!? おじおぎなんでざれだらゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!」 甲高い声で泣き叫ぶゆっくりまりさ。 自分が何をやったのかを理解していないのか、本気で悪い事は何もしていないと思っているのか……恐らく後者だろう。 ※ 一から理解させてやらなければならないのだろうか……ため息をついて、やや怖い顔を作る。 「じゃあ、私がお前のおうちにある食べ物を食べたり、おもちゃを壊しちゃっても良いんだな?」 「だめだよ! そんなことされたらゆっくりできな……」 中途半端な所で言葉を止めたゆっくりまりさは、ハッと驚く様な顔になって、そのままぶるぶると震え始めた。 勝手に家の食べ物を食べられ、おもちゃを壊される……それは、先ほど自分がやった事だとようやく気付いたらしい。 そのまま考え込む様に目を閉じて「ゆぅ~」とうなり声を上げた。覚悟を決めているらしい。 少し経って目を開いたゆっくりまりさは、饅頭だと言うのにやけに凛々しい表情を浮かべていた。 「……わかったよ、まりさがわるいことしたからおしおきされる! でもあんまりいたくしないでね! いたくしたらゆっくりできないよ!」 ゆっくりおねがいね! などと飛び跳ねるゆっくりまりさ。 勝手な事を言っているのにどこか憎めない態度に、思わず苦笑いが浮かんでしまう。 子供がわがままを言っている様に感じてしまうからだろう。 「よし、覚悟が出来ているならお仕置きをするぞ」 「ゆっ! おねがいします!」 屈伸運動をするゆっくりまりさ。お辞儀のつもりだろう。 お仕置きをするだけなのに、稽古中の師匠と弟子の様で面白いが、ゆっくりまりさは真剣な眼差しでこちらを見つめている。 「じゃあ、始めるぞ」 「ゆっくりいつでもどうぞ!」 よほど怖いのだろう、良く見るとふるふると震えている。 すぐに終らせてやるからな。心の中でそう誓いつつ、ゆっくりまりさの目の前に手を持って行く。 「しばらくこの手を見ている事がお仕置きだ、分かったか?」 「……ゆ? ゆっくりおててみているよ!」 不思議そうな顔をした後で、嬉しそうに飛び跳ねるゆっくりまりさ。 お仕置きと言われて緊張していたら、手を見るだけなどという半ば遊んでいる様な程度で済んだのだ。その気持ちも分からなくはない。 だが、そこまで甘くはないぞ。 「これはお仕置きなんだからゆっくりされては困るな。これからが本番だ」 にこにこと笑うゆっくりまりさの目の前で、手をゆらゆらと動かし始める。 ゆっくりまりさは「ゆっ!?」などと驚いた声をあげつつ、先ほどよりずっと遅い速度で揺れ続けるそれを目で追いかけた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な掛け声で噴出しそうになるのを堪えつつ、ゆっくりと手を動かし続ける。 右、左、右、左……ゆらゆらと動く手を追いかけ続けるゆっくりまりさは、べちゃんと転んでしまった。 「ゆぎゅっ……ゆっくりできないよ!」 そのままぷくっと膨らもうとするが、起き上がった時点でまたゆらゆらと動く手を見て、すぐに目で追いかける。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 珍妙な声を上げつつ、ゆっくりと動く手を眺め続けるゆっくりまりさ。 その極めて難しい事に挑む挑戦者の様な表情を眺めつつ、私はゆらゆらと手を動かし続けた。 「はい、お疲れさん」 「やっどゆっぐりでぎるよー!!!」 私の声を聞いた瞬間、疲れ果てたとばかりにぷにょんと平べったくなるゆっくりまりさ。 「ゆぅぅぅ……おめめがいたいよ!」 数分間ふらふらと手を追っていたのがよほど堪えたのだろう。 ゆっくりはぱちぱちとまばたきを繰り返している。 「ゆっ……おめめがゆっくりできたよ!」 しばらくそうしてから、ゆっくりまりさは嬉しそうに叫んだ。良く見ると、目がつやつやと輝いている。 ゆっくりもドライアイになるんだな……おっと、考えていたらまた手が動いてしまうから考えない様にしなきゃな。 それに、お仕置きは終ったのだから、家に戻してやらなければならない。少し残念に思いながら、水槽から出してやった。 「おにいさんありがとう! それとごめんなさい! おうちでゆっくりはんせいするね!」 水槽の外に出た途端、嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねていくゆっくりまりさに声をかけた。 「ああ、もう家を荒らすんじゃないぞ」 「ゆっくりわかったよ! ばいばいおにいさん、ゆっくりしていってね!」 その場で飛び跳ねてから、かなりのスローペースでどこかへと去っていくゆっくりまりさを、微笑ましく眺める。 あのゆっくりまりさは、二度と同じ事を繰り返しはしないだろう。 そう考えると、心を鬼にしてやった甲斐があったというものだ。 穏やかな気分になりながらも、足りなくなった食器や食材を買いに行く事にした。無論、戸締りはしっかりとしてからだ。 お仕置きしている最中に降り出した雨の中、急ぎ足で買い物へと出かけた。 近頃流行りのぬるいぢめと32スレ 811の言った○○すれば~~してやる系統の話でふと思い立ったものを一つ即興で上げようとしたけど長くなりました。 ちょっとぬるすぎると思った方のために、先に思いついたドギツイ虐待も置いておきます。 ※から下がそれなので、良かったら見て下さい。 by319 ※ それにしても、うるさい事この上ないな。ゆっくりがウザいと言う人の事が少し理解できた気がする。 「分かった、まりさは悪い事はしていないと言うんだな。なら、家には帰せない。そこでしばらく反省しなさい」 「わるいごどじでないのにぃぃぃ! おうぢがえじでよぉぉぉ!!!」 いかにも自分は被害者だという叫びを上げるゆっくりを無視して、フタを閉める。 水槽を覗き込むと、ゆっくりの方も気付いたのか、激しく跳ね回りながら泣き出した。 音が聞こえないために何を言っているかは分からないが、何と言いたいかは分かる。 家に帰りたい、助けて、ごめんなさい。まりさは何もしてないよ、許して。 最初は、子供のいたずらに近いものがあるし入ったのがゆっくり程度で良かったと思っていた。 だからこそ、先ほど考えていたお仕置きも簡単なもので済ますつもりだった。 だが、こいつは全く反省していないどころか、自分は被害者で、冤罪だとほざいている。 これまで優しく接していた自分が愚か者だと突きつけられた様な錯覚に陥る。 苛立ちをそのまま饅頭に叩きつけたくなるが、そんな事をしたら今度こそ自身の間違いを肯定する様なものだ。それは気に入らない。 では、どうするか……決めた。 さっき思いついた『お仕置き』を少々キツめにやってやろう。 これなら暴力は振るわないで心の底からの反省を促す事が出来る。 「おうぢがえじでぇぇぇ……ゆっ? おにいざん、なにじでるの!?」 まず、ゆっくりの目の前に手を持ってくる。 「おはなじぎいでよ! ゆっぐりでぎないよ!」 そのまま、ひらひらと左右に手を振る。 「ゆっ!? ゆ、ゆ、ゆ……」 何かと思って追いかけるゆっくりの前で、どんどん手を早く振っていく。 「ゆっ、ゆっ……ゆゆゆ、ゆっぐりでぎないよ! もっどゆっぐりじでよ!」 だが断る。更に手を早く振り、ゆっくりできなくしてやる。 「ゆぎゅあぁぁぁぁあぁあぁぁぁあ!!! ゆっぐりじでよ! ゆっぐりじでよ!」 泣きじゃくるゆっくり。 この期に及んでまだ被害者ぶるその態度が勘に触った私は、風を切る音が聞こえるほどに素早く手を振り続けた。 「やべでぇぇぇぇぇゆっぐりざぜでぇぇぇぇぇ!!!」 皮がふやけるほどの勢いで涙を流すゆっくり。 小賢しい。腹の底から怒りが沸き上がってくる。 泣きじゃくるゆっくりの前で、私は手を小刻みに振り続けた。 「ゆるじでぐだざいぃぃぃぃ;あkhy:@ばdgは:!!!」 ゆっくりは、あまりにゆっくりできない現状に絶望したのか、意味不明な叫びと共に黒い何かを吐き出し始めた。 だが、私は怒りのために疲れは全く感じない。 こうなれば、持久戦だ。 私が疲れて手を振る事をやめるか、ゆっくりが被害者ぶるのをやめて、自分が悪かったと反省するか。 そんな事を考えながら延々と手を振ってゆっくりさせない事に専念していたせいで、ゆっくりが段々と目の輝きを失っていった事には気が付けなかった。 どれだけの時間手を振り続けていただろうか。 流石に疲れた私は、手を振る事をやめた。 「……どうだ、これだけやったら反省しただろう」 「………………」 ゆっくりは無言でうつむいている。 流石に反省したと思うのだが、こちらの被害も甚大だ。手がぶるぶると震えている。 こんな事で腱鞘炎にでもなったらバカらしいが、それもこれも、ゆっくりに反省してもらうためにやった事だ。 「分かったか? 自分がやった事を棚に上げて、被害者ぶるなんて許されない事なんだぞ」 「………………」 うつむいたまま動かないゆっくり。 ひょっとしたら、叫び疲れて寝ているのかもしれない。 だとしたら、途中からは何のためにやっていたのか分からないが……若干の冷や汗を背中に流しつつ、ゆっくりが寝ていないかどうか確認してみる事にした。 「おい、聞いているのか? お前は……」 ぱさりと帽子が落ちたその中の饅頭を見て、私は絶句した。 私の家は、勝手に誰かが入り込んでくる様な立派な家でもないし、妖怪もこの辺りにはいない。 だから、私が油断していたと言わざるを得ない。 理性では分かっている。だが、感情では分からない。 だから、私はこんな事をしたのだろう。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 目の前には、白目をむいて震えているゆっくりが一匹。 外傷はないが、精神に負った傷はもう二度と治る事はないだろう。 哀れな饅頭の前で、詫びる様にゆっくりと手を振った。 このSSに感想を付ける
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みないでみせないで【登録タグ Lichiria み 初音ミク 曲】 作詞:Lichiria 作曲:Lichiria 編曲:Lichiria 唄:初音ミク 曲紹介 Lichiria氏の9作目。 歌詞 見ないでって 見ないでって じわじわしちゃう だけど君は ずっとずっと こっちを見てる もしかしたら もしかすると そういうことかな? 思い切って 聞いてみたら ごはん粒ついてた 自意識過剰とか 神経質だとか そんなこと言われたって 視線が熱い 見ないで 焦げちゃいそう 瞳がうるんで泳いだ 目を付けられちゃったら身動き取れない あちこち見られちゃって お嫁に行けなくなっちゃう 見られてると思うとめまいがしてくるの 見せないで 見せないで ドキドキしちゃう だけど君は ずっとずっと やさしくするの ひょっとしたら ひょっとすると そういうことかな? 思い切って 聞いてみたら 気まずい空気 余計なお世話だとか気にしないでだとか 冷たい態度とって 耐えてる毎日 見せないで 落ちちゃいそう 瞳が吸い寄せられちゃう 優しくされちゃったら向き合えなくなる このまま懐いちゃう ゆらつくプライド見捨てて 前見ず突き進むわたしを受け止めて 日に日に増してく 火花みたいに 目と目で通じ合って 制御できないの 見てないで かまって欲しい 瞳で訴えかけてる それなのに君はずっと見て見ぬフリする このまま見詰め合って瞬き忘れた頃には 君しか見えなくなる もう目も当てられない コメント 間違っているところがあれば編集お願いします。 -- 6VX (2016-08-05 19 10 46) 名前 コメント
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楽しみ方はまさにあなた次第の人気シリーズ【どうぶつの森】の最新作がニンテンドーDSに登場です。現実と同じ時間が流れる世界で、好きなことをしながら、気ままに過ごしてみませんか。自分の部屋のインテリアをコーディネートしたり、お店で買い物をしたり、村に住む住民たちとの会話を楽しんだり…。ゴールやクリアーはありません。髪型を変えたり、アクセサリーをつけたり、服を選んだりオシャレを楽しむことも出来ます。本作品では、キャラクター、アイテム、村で発生する楽しいイベントがますます多彩になっています。また、タッチペンでの操作や2画面を使ったイベントの演出など、DSならでは新規要素も充実しています。 任天堂 発売日 2005年11月23日 価格 4,800円 おいでよ どうぶつの森 公式サイト レビュー 名前 コメント 交流 名前 コメント
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身づくろい珊瑚 イメチェンに挑戦 見つかっちゃった珊瑚 まねっこソーダ やっぱりやってみた そしてあきらめた 困惑瑪瑙 まねっこソーダ こどもは結構よく見てる 化粧品にも興味津々 鶏「ま……まあ、子供のすることですから(うう、秋の新色だったのに……)」 真「チキちゃん(鶏→チキン→チキたん)ドンマイよ。はい、秋の新色限定品、さしあげるわ」 鶏「お姐さま……っ!!」 そのころ マ「ああ、きんもくせいが綺麗だねえ」 電「……おべんじょ?」 マ「ええ!? ああ、うちの芳香剤……電気石、お外でおべんじょなんて言っちゃいけないよ。せめてトイレって言いなさい」 電「……じゃあソレ」 遊び疲れておやすみソーダ
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おいでよ、幻想の郷 動画リンク コメント・レビュー おいでよ、幻想の郷 何人目の幻想入り 作者 ひとこと 主人公 長月 十夜 mylist/17013442 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ピンポーン! みさおの家の玄関チャイムが響き渡る。 あきら「こんにちはー、小神でぇーっす!」 みさお「おー、まあ、あがってあがって!」 小神あきら。少し前まで、「らっきー☆ちゃんねる」という番組の司会をしていたが、それが終了した後は「新らっきー☆ちゃんねる」という番組をみさおといっしょに組み立てていた。 今回は、その打ち合わせに来たわけである。初夏といわれる季節の日曜日は、家での打ち合わせには最高の季節である。 みさお「よくきたなー、こんなとこまで。」 あきら「まーね、で、今度の収録のことなんだけど・・・。」 「どういう風にみのるっちをいじくる、ということなんだろ?」 「今度のテーマが『五月病』について。どう?なんか面白そうなの浮かんでる?」 「そうだなぁ、オープニングで、五月病らしくテンションどん底で始めるのなんかどうかな?」 「そうねぇ、んで、あいつが『テンション低いですねぇ』とか言ってきたら、『おめぇのせいじゃろがぼけぇぇ!!』みたいな感じで?」 「おおお、バッチリなんだってヴァ!!」 「じゃあそれでいこうか。それから後はおたよりコーナーだから軽く、と。」 なんだか適当な打ち合わせだが、これでちゃんと毎回収録ができているんだからすごいものである。普段の打ち合わせはスタジオの楽屋だが、今回は別番組の楽屋として使われていると言うことで、みさおの家に来たという事である。 あきら「それにしても、みさおの部屋ってすごいもんばっかりねぇ。」 みさお「だろ?結構兄貴のお下がりなんかもあって、女の子らしくねぇって言われるんだ。」 「これ、なぁに?」 「あ・・・そ、それは・・・。」 「ふぅん、へぇ。これも、お兄さんのお下がり?」 「ち・・・違う・・ゼ。」 あきらが手にしたものは、みさおがベッドの下に隠して置いた、一般では「成人向け雑誌」と呼ばれているものである。まぁ、皆様には「エロ本」とでも言った方がなじみが深いのかもしれないが。あきらは中身をぺらぺらめくり、みさおに問いかけた。 「ふぅん、みさお、こんなの読んでるの?」 「わ、悪いか?」 「こういう本に書いてあることも、しちゃうわけだ。」 「ヴァ?」 「だから、こういうHな事もしちゃうってこと?」 「そ、それは・・・。」 あきらの目が光る。 あきら「じゃあ、今度の収録の時には、『おはらっきー!今日はみさおのエッチな一部分を紹介しちゃうよ~!』って感じでいってみよう!」 みさお「そ、それだけはやめてくれよう、何でもするからさぁ、お願い!」 「まあ、あきらがそんなことをするはずはないんだけどね。」 「なんだよう・・・。」 それはそれで見てみたいものだが、日本だと規制が厳しそうなので無理か。 あきら「でも、今『何でもする』って。」 みさお「そ、それは・・・。」 「言っちゃうよ?」 「わ、わかったってヴァ。何をすればいいの?」 「あきらを、気持ちよくさせてみ。」 「へ?でも、読者の皆様はみさお受けを期待してるんじゃ?」 「素直に言うことが聞けねぇのかぁぁぁ!!!」 「みゅうううううん・・・。(本当は私が気持ちよくなりたかったのに)」 みさおは一枚ずつ、あきらの洋服を脱がして行く。みさおが体に触れるだけで、あきらの体から声がもれる。 みさお自身も素っ裸になり、あきらとの一体感を深める。 みさお「わ・・・あきらの裸なんか初めてだ・・・。」 あきら「そんなにじろじろみないでよ・・・。」 あきらを素っ裸にし、甘い口づけをする。二人の体は床の上で一つになり、口の中では柔らかい物体が二人の体をお互い包みあっていた。 あきら「みさお、なんか甘いもの食べたでしょ。」 みさお「へへ、さっきアイス食べたんだ、残ってる?」 「甘い。とっても。」 「あきら・・・」 みさおはディープキスをし終わると、頭をあきらの下半身のほうに移動させる。そして、あきらの股に手をかけようとしたその時・・・。 あきら「みさお、ちょっと待って、動かないで!!!」 急にあきらが声を荒らげる。みさおはびっくりして固まった。あきらは体勢を起こし、みさおの脚の付け根の方に回った。 みさお「ヴァ?」 あきら「今みさおのアソコにね、蚊が入ったの。血を吸われると変な病気移されるかもしれないから、すぐ入れるわね。」 結局みさお受けの展開になるのかようとつぶやきつつ、みさおは自分の命をあきらに預けた。ディープキスで敏感になりつつなるそこは、蚊に刺されてしまうだけでも致命傷である。 あきらは自分の指をみさおのそこに無理矢理入れ、蚊を探る。 みさお「ああっ、ふああ、もっと、もっとやさしくぅぅ!!」 あきら「我慢しろ、かゆみ成分を注入されて翌日学校で『あそこがかゆいんだってヴァ』って叫ぶようにはなりたくないでしょ!?」 「ううう、ああっ、でも、ちょっと、うう、強いんだってヴァ!!」 「見つけた!」 「ふああああっ、いきそう!」 プチッ!!! あきらが蚊をつぶすと同時にみさおは絶頂を迎え、蚊をみさおの愛液が飲み込んだ。あきらの手もどろどろの愛液だらけになり、呆然とするみさおにあきらは「いくのが早すぎるんだよ、おらぁ」と説教した。 あきら「全く、みさおはいくのがはやすぎるのよ。」 みさお「へへっ、ごめんごめん。体質だからしょうがないけどよう。」 「いや。」 「へっ?」 「こういうのは慣れだから、今度の打ち合わせの時に、・・・またおもいっきりいかせてあげるね!」 「えええっ!?今度の打ち合わせって・・・。」 「白石もいっしょに。」 「みゅううううううううううううううん!!!」 コメントフォーム 名前 コメント
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ちかづかないで【登録タグ GUMI ち 曲 涼介P】 作詞:涼介P 作曲:涼介P 編曲:涼介P 唄:GUMI 曲紹介 歌詞 (ピアプロより転載) お願いだからこっちこないで 病気とか感染ったりしないかな 人として認識できないよ 強いて言うなら気持ち悪いです 生きてる世界全然違いすぎるの 私には何も見えないから 「もしもし?この人頭おかしいです!」 どうしてそうも曲解するの Can you speak Japanese,OK? 顔も圏外 声も埒外 お願いします 一時間息止めて? 気持ち悪っ 気持ち悪っ 気持ち悪っ 生きていて恥ずかしくないわけ? これがツンデレ?笑えない 鈍器のようなもので強く殴られてよ 捕まえて 捕まえて? 捕まえて! ホラそこのキミ、ぼさっとしてない! 「いつが空いてるんですか?」 警察ならいつでも開いていますからね! お父様を今すぐに呼んで 日本への立ち入りを禁じます 激しく眩暈がします あなたの脳にしわは無いようね 生きてるだけで環境に悪影響及ぼすわ 放射能逃げて シュノーケル持って土星まで行って それと便座カバー どうしてそうも言葉通じない? 彼が歩いた道は朽ち果てる 着いてこないで 森へ還って あと5分です 自衛隊来ます ウザったい ウザったい ウザったい これは国宝並のウザさね 「ボクのこと好き?」 聞こえない 地下でペリカでも集めていればいいのよ 消毒よ 消毒よ 硝酸で 細胞一つも残さないわ これはただのゴミムシよ 生まれてきたことを後悔させてあげる 私が使う車のナンバー忘れて 私の口調を真似るのはやめて 私と話す時、なぜ胸を見るの? 私と同じゴーグル、舐めるのはやめて 私のサイズを当てているつもり? バンダナ・ジージャン・リュックとか…有り得ない この人もしかして…相撲取り目指してる? 今の言葉を録音して聴かないで 国家反逆罪で家宅捜索 気色悪いの 出るわ出るわよ 私のなんて すぐに焼いたわ スーパーハッカーも土下座してるわ 盗撮・改竄・ストーカー・余罪だけでも105件 これで半分 恐ろしい さらにロリコン・マザコンの…これは言えない 初めて会った時から元々ゴミクズだったね もう会うこともないでしょうけど もし見かけたなら…覚悟して? コメント コレハロロリwww -- 鋏 (2013-01-10 21 57 23) な に こ れ STK -- 征真@金爆の人← (2013-01-28 05 42 24) ユーチューブでこれ聞けない↓ 聞きたい -- りり (2016-08-17 18 22 08) 名前 コメント
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失敗は成功のもと! 諦めないでよかった 戸建てのマイホームを持とうと考えついてから、新築建売、中古物件、セミオーダーなど様々検討しましたが、最終的に私たちが選んだのは注文住宅でした。 希望の施工会社をいくつかピックアップして相談に行きました。 でもこれがなかなかの茨の道で……。 正直私たちの予算は心もとなく、それで門前払いを食わされたこともありましたし、 門前払いならまだしも、遠回しに断られているのに気づかず時間を無駄にしたこともありました。 ひどいところでは、「今週末までに送ります」と言われた書類が送られて来ず、確認の電話をしたら「今度の週末までには必ず」と言っていたのにやっぱり来なかったということも。 またその会社には、打ち合わせのダブルブッキングもされてしまいました。 これではさすがに対応が悪すぎる、とこちらからお断りしましたが、建てる家は良かっただけに涙が出るほど悔しかったです。 そんなわけで、注文住宅を建てることを半ば諦めかけていたときです。 ある日、私は何の気もなしに、ふと頭に浮かんだ施工会社の名前をネットで検索していました。 どんな家を建てるのかも知らない、名前しか知らなかった会社です。 そしてサイトの建築事例を見て驚きました。 今まで選んだどの会社よりも、私と主人の好みにばっちり合う家を建ててくれる会社だったのです。 大げさかもしれませんが、これが私たちにとって運命の出会いとなりました。 以後、その会社をA社とします。 もちろんデザインの良さだけでは家は建てられません。 私はサイトを隅々まで見て、環境や健康に優しい木を使っていることや、耐震構造をチェック。 口コミも探せるだけ探し、ネットで調べる限りは問題がなさそうだと分かるとA社に相談の予約を入れました。 これもまた偶然で驚いたのですが、A社のある場所は当時私たちの住んでいたマンションから車で20分、ほとんど曲がることなく真っ直ぐ行ける場所にあったのです。 相談当日、私たちは今までの経験を踏まえ、開口一番「だめならだめって言ってください!」と宣言しました。 担当してくれた方は、こちらもきっぱりと「やってみないと分かりません」と答えてくれました(笑)。 それの何がいいのかというと、今まではわりと「大丈夫です」と言われてきたんですね。 大丈夫だと言われたのに遠回しに断られる、というような結末が本当に多かったのです。 A社の方の「やってみないと分からない」という言葉は、私たちにとっては信頼するに値する返答でした。 それからローンの事前審査、土地探し、間取り決めなどを並行して行っていったのですが、施工会社が近所だというのは本当にありがたかったです。 呼ばれればすぐ行けましたし、逆に家まで来てもらえることも頻繁にありました。 それに何より、A社は私たちの希望するエリアの土地探しに強かったのです。 これは地元の会社ならではだなあと主人と感じ入ったものです。 そうして結果、私たちは家を建てることができました。 予算はかなりぎりぎりでしたが、A社の方があれこれ提案・工夫をしてくれました。 家が完成して2年以上が経った今でも、A社の方々とは親しくさせていただいています。 今考えてみると、いくつかの施工会社を回って断られたのも悪い経験ではありませんでした。 たくさんの失敗があったからこそ、A社との打ち合わせでは、迷いなくはっきりと自分たちの意見が言えるようになっていました。 それはA社にとってもありがたかったと思うのです。 皆さんも、初めての家探しは不安でいっぱいかもしれませんが、及び腰にならず堂々と向かっていってください! そのほうがきっといい結果を生みますよ。